{ 台所からの手紙 }2013.01.17

Vol. 012 豆まき、柏餅、おせち料理

以前にFrom Kitchenで料理教室をして頂いた
カフェを経営しながら子育てしている日本人のお母さん、
直子さんのお手紙をご紹介します。



あなたが2歳になった時に、私達はカナダに住み始めました。

そこは、島で小さな町で日本人なんて殆どいなかった。
友達もいなかった私達。
かーちゃんもあなたも、
カナダの生活に慣れるために一生懸命だった。

幼稚園でも小学校でも日本人はあなただけだった。
あなたは、とても恥ずかしがり屋だったから友達ができるか凄く心配してたんだよ。
イジメられないかも心配した。

学校に通い始めたら、あなたはどんどん英語でおしゃべりするのが上手になってきた。
友達もできたね。ほっとしたし、嬉しかった。

けれど、あなたが英語で友達と遊んでいる姿を見ていると、ちょっと寂しくなる。
いつかは、あなたは日本人じゃなくなっちゃって、
かーちゃんともう日本語で話せなくなっちゃうかもしれないってね。

15歳になったあなたは、日本で生まれた事は知っているけど、
日本に住んでいたこと、覚えてないもんね。
カナダで暮らし居る方が、ずっとずっと長いものね。

でもね、これだけは、ずっとずっと忘れないでほしい。
あなたのお父さんとお母さんは日本人で、
あなたは日本で生まれて、
2歳まで日本にいたんだよ。

そんな、思いがあるから、2月には、豆まきした。
5月には柏餅を作ってお祝いした。
そして、お正月には、おせち料理で新年を迎えてきたね。

きっとあなたは、これからもどんどんカナダの人になってゆくのだろうね。
かーちゃんはあなたの中にどれだけ「日本人」であることを刻めるのかな。