{ 台所からの手紙 }2013.01.19

Vol.013 ハーフバースデーの苦い思い出



珠季へ

ハーフバースデーっていうのは、生まれて半年のお祝いのことだよ。
赤ちゃんが1歳になるのが待ちきれなくて、半年でやるのかもね。

珠季のハーフバースデーの日、ハハは張り切って、かわいいごはんにしようって思った。
いつもは1回食を朝10時頃にしていたけど、
チチが仕事にいく前に、記念写真を撮って、みんなで朝ごはんにしたんだよ。

せっかく離乳食も始めていたし、なんとなく好きそうかなっていうものを集めて。
バナナヨーグルトパンがゆ、アボカド、いちご、小松菜。
当時の珠季にしたら、朝から豪華な食事。完食したよ。

離乳食といえば、はじめてのものは朝に食べましょう、ってよく言われる。
アレルギーだったとき、すぐに病院に行けるようにって。

忘れもしないこのハーフバースデーの朝、食べ終わってしばらくしたころ。
珠季にどんどんじんましんが出て来て…、
おなかや、顔や、頭まで、真っ赤になって…、もちろん大泣き。

つらそうだった。これってアレルギーかもってちょっと思ったけど、
今日はじめて食べたものはなかったし、どんなじんましんがアレルギーかとかわからないし、
ほかの病気かもしれないし、すごく不安だった。とにかく病院に連れて行かなきゃって思ったよ。

そしてさらには、いつもの小児科の休診日だったんだ。
ハハは急いで、泣いてる珠季を車に乗せて、はじめての小児科に行ったよ。
順番を待っている間はチチに電話したりもした。

小児科で診てもらう頃には、ひどかったじんましんは少しひいて、
たぶんアレルギーだからって薬をもらったよ。
近くの大きな病院で検査してきてくださいってことになって、
その日に食べたものをぜんぶと、よくあるアレルギーの食べ物が、
珠季にとってどうなのか、血をとって検査したんだ。

結果は、卵とミルクとピーナッツのアレルギーだった。
ハーフバースデーのメニューは、ヨーグルトがだめだったんだね。

それからはよく説明をきいて、勉強して、除去食で行こうってことになったよ。
アレルギーの食べものは、アレルギーじゃなくなるまで食べないようにするの。
そのやり方で、少し大きくなって治る子もたくさんいるって聞いたから、それに期待したんだ。
ハハにとっては、また新しい世界のはじまりだった。

アレルギーとなると、おじいちゃんやおばあちゃんも気にして勉強して、
本当にいろんな治療法があるのを知らせてくれたりした。

でもハハは、病院で先生としっかり話して決めた方針を、ぜったい守るって決めたの。
うっかり食べちゃわないように、すごく気をつけるようになった。

珠季にあげるもので、買ったものは、裏の表示をすみからすみまで確認したよ。
パン屋さんでパンを買う時も、ミルクを使っていないパンはありますかって、必ず聞いてた。
外に行く時もだいたいお弁当を作ってたよ。

珠季のごはんは私がきちんと管理するぞっていう気持ちは、
新米お母さんらしい、すごくすごく強い気持ちだったような気がする。