{ 台所からの手紙 }2013.01.02

Vol.006 トランペットとナポリタン

From Kitchenにはさまざまな年齢の子を持つ母達がわが子への手紙を寄せてくれています。皆、子ども達にごはんを食べさせ、泣いたり、怒ったり、笑ったり、家族のありかたを模索しています。がんばっている母達をFrom Kitchenでは「食べること」をキーワードに応援しています。今回はFrom Kitchenプロジェクトのお料理教室を開催してくれたカナダでサクラカフェを経営している城光寺直子さんからです。


今夜は、クリスマスコンサートだったね。
あなたは、ブラスバンド部でトランペットを担当している。

空気をいっぱい吸い込んで、力強くトランペットを吹いている姿を見ると、13年前の事を思い出します。
私達がカナダに引越ししてきたのはクリスマスの季節だった。

あの時のあなたは2歳になったばかりで、おむつだってしてたし、おしゃべりもまだだった。
あなたが1歳の時に小児喘息と診断されて、空気のきれいなカナダに引越ししたら、治るかもしれない。
かーちゃんには、そんな願いがあってカナダに引越しすることを決心しました。

けれど、その願いは虚しく、何度も何度も肺炎を繰り返して、ERに行かなくちゃいけなくて。
時には重い肺炎になって、もしかしたら、なんて思うこともあったんだよ。
喘息で、肺炎で苦しそうに、やっと息してるあなたの寝顔をみて、かーちゃんはいつも「代わりたい」って願ったよ。

あなたは沢山、沢山薬を飲まなくちゃいけなくて、不味い薬を泣いて嫌がったよね。
でも、薬のまないと死んじゃうから、無理やり飲ませた。あなたの体に沢山悪い物を入れてしまった、本当に辛かった。
もうコレ以上、あなたの体に悪い物はいらないから。ご飯いっぱい食べたら、元気になってくれると思ったから。
かーちゃんは一生懸命あなたが美味しく食べてくれるご飯を作ったよ。

けど喘息になると、いつも何も食べたくなくなっちゃったよね.食べないと元気にならない、いつも心配したよ。
けど、これだけは食べてくれたね。かーちゃんのちょっと甘いスパゲティーミートソース。

15歳になった今でも、あなたの大好物だよね。
明日はかーちゃんのスパゲティーミートソースにしようね。

今、あなたが力強くトランペットを吹いている姿をみることができて、嬉しくて涙がでてくるよ。

かーちゃんより