{ 台所からの手紙 }2013.01.08

Vol.008 後姿の子供たちへ

引っ越しが多くて友達作りに苦労をした子供たちが社会人になり、
母の子育てがひと段落着いたのは3年前。
それは本当にあっけなくやって来て、毎日の食事を作る張りもなくなった。

元気で大きくなってほしい! の願いから、
母は食事当番のような毎日を楽しんでいた。

学校から帰ってくると”今夜はなに?“と言いながら入ってきて、
食べたかったものに”ビンゴ“ の日はテーブルが盛り上がった。

当時はお天気や体調を考えながらメニューを考える事が面倒だと思った母だったが、
今となってはもっと楽しめばよかった! と後悔の日々。

子供が何を望んでいるか? 
を考える訓練を山ほどさせてもらったお蔭で、
娘の好物のグラタンや餃子は外したことがない。
疲れる頃の“おはぎ”も“どうして食べたいことが解かったの?”と言わせるほどだ。

が、成長に伴って子供たちは我が家の食事以上の楽しみを見つけ、
外に目が向いて行った。
自然の成り行きと思いつつも母は淋しかった。

子供が大きくなるって淋しいね!と父に言うと、
健全に育ってくれた証拠だよ!ちゃんと育ってくれたから安心して出ていくんだよ !! 
と言われたが、うれしく思えなかった。

ところが最近になって娘が料理をするようになり、
母の味を基準にしているようだと解かった。

よその味では満足しないから味を思い出してマカロニグラタンを作ってみたとか、
家の親子丼の味が出ないんだけど・・と写真添付のメールが入る。


我が家のコツを教えながら、
娘の中にはうまく刷り込めているのかもしれない、
と嬉しくなる母がいる。

息子が家庭を持ち、娘も自立。
これから先、子供たちの食卓に母の足跡はどれくらい登場するだろうか、と考えることがある。

贅沢は言わない。
疲れた時、悲しいとき,嬉しいときに母の味を思い出してくれれば…。
形が進化したとしても、どこかで繋がっていってほしい!!
と、ひそかに願っている母である。

このお手紙にでてきたマカロニグラタンのホワイトソースの作り方をレシピのコーナーでご紹介しています。
ぜひおためしください。
From Kitchen レシピ 
ダマにならないホワイトソース
チキンマカロニグラタン