娘への手紙
君を産んだ産院からもどり二人っきりになったとき、小さな身体を抱きしめた。
その時に言いようもない感情が溢れてきたのを強烈に覚えている。
「命を繋ぐ」
親としての責任感なんだろうか、母性が溢れてきたのだろうか、
とにかくこの命をなんとしても守らなければいけないのだと思った。
大きくなるにつれて楽しい思いと同時に
病気をしたり怪我をしたりいろいろな心配をも運んでくれた君に、
私が毎日してきたことは、清潔な寝床と衣類と温かい食事を用意することだった。
それは特別な料理ではなく、どこにでもあるありふれた家庭料理だ。
旬の食材があったり、
季節毎の料理を作ったり、
毎日のお弁当も運動会や遠足の日のお弁当も、
いつの間にか我が家流の食卓ができあがっていた。
「自分で作る料理がかーさんの味になっている」と君が言う。
「かーさんのごはんが食べたい」と君が言う。
何よりの褒め言葉は、産院から帰ってきて君を抱きしめた日から繋がっていた。
From Kitchen代表 福島利香