{ 台所からの手紙 }2013.02.08

Vol.016 かーちゃん、カフェしてもいいかな?

From Kitchenにはさまざまな年齢の子を持つ母達がわが子への手紙を寄せてくれています。皆、子ども達にごはんを食べさせ、泣いたり、怒ったり、笑ったり、家族のありかたを模索しています。がんばっている母達をFrom Kitchenでは「食べること」をキーワードに応援しています。今回はFrom Kitchenプロジェクトのお料理教室を開催してくれたカナダでサクラカフェを経営している城光寺直子さんからです。



カフェを始めた時は、あなたはまだ小学生3年生だった。

かーちゃんがカフェを始める時、あなたに聞いた。
「かーちゃん、カフェしてもいいかな?」って。
そうしたら、あたなは「いいよ」って言ってくれた。

でも、その時はあなたはまだ小さくて、それがどういう事になるのか、
ちゃんとわかってなかった。

それから数カ月後にかーちゃんのカフェがオープンした。
かーちゃんは、朝からずっと、カフェで毎日毎日、働いていた。
お家に殆どいなくなってしまった。

ある日、何か些細なことでケンカした時に、あなたは泣きながら私に訴えた。
「お願いだからもう、カフェやめてよ」って。

かーちゃん、凄く胸が痛かった。
直ぐにやめておうちにいてあげたかった。
また、前みたいに学校に迎えにいってあげて、
ご飯作ってあげたかったよ….
でも、まだ、オープンしたばかりだったから、
それだけはできなかった…..

あなたは学校が終わったら、
カフェに来てかーちゃんの仕事が終わるまで待ってたね。
常連のお客さまから「こんにちは」って話かけられるが苦手だった。

おやつには、カフェモカをよく作ってあげた。
あなたのカフェモカは、チョコレートシロップが、
多めで生クリームがたっぷりのってるスペシャルカフェモカ。
大人の飲み物をこと時初めて飲んで、嬉しそうだったね。

あれから6年の時が過ぎ、あたなは15歳になった。
夏には、かーちゃんと一緒にカフェに立って手伝ってくれた。

お客さまにも、もう恥ずかしがらないて挨拶できるようになった。
テキパキと働いてくれた。本当に頼もしく育ったくれたね。

今では、あなたは自分でカフェモカを作って、かーちゃんと
一緒に飲んでいる。

あの時、かーちゃんは諦めなくて本当に良かった。