{ 台所からの手紙 }2013.02.27

Vol.020 母のおやつ、君のおやつ

私が幼稚園の頃に、大好きだったおやつがあった。
さつま芋が四角にごろごろと入ったおやつでとてもとても美味しかった。
同級生のおうちが和菓子屋さんで商店街の端にあり、
そこに買いに行ったことをよく覚えている。

小学校に上がる前に東京に引っ越してきたから、
そのおやつは東京では見ることもなくそのまま記憶の隅に押しやられてしまった。

君が産まれて、母になったらおやつを手作りすることに憧れていた私は、
小さい頃に食べたあのさつまいもが四角にごろごろ入ったおやつを作ってあげたかったんだ。



お芋だから小さい子にも食べやすいし身体にもいいでしょ。
お芋大好きだったもんね。

いろいろ調べたらわかったの。
あれは名古屋では有名なローカルなおやつだったてこと。
「鬼まんじゅう」。君も好きなおやつだよね。
いつか、君が誰かに作ってあげられるようになるといいな。

おばあちゃんは子育て中も仕事に夢中だったけど
身体にいいおやつを買ってくれ、
専業主婦に憧れた私はおやつを手作りした。
結局、私は仕事を始めて働く母となった。
これから君はどんな女性の生き方を選ぶのだろうか。