{ 台所からの手紙 }2013.07.07

Vol.032 離乳食、おねえちゃんときみの場合

初めての離乳食は、たぶんどろどろのおもゆ。
スプーンに慣れさせるために、果汁からおもゆ、おかゆとステップアップしたのは教科書どおり。
その後、おもゆがおかゆになり、だんだんやわらかいごはんになっていった。
その頃から、おねえちゃんはごはんが大好きだった。
白身魚を薄い味で煮てごはんと一緒に食べさせたり、お豆腐もよく登場した。
ほうれん草も、かぼちゃも、たくさんの野菜を丁寧にひとつずつ、味を確認させるために柔らかく煮て離乳食を作っていた。

今日はお肉、今日はお魚。
バランスもよく、見た目にも可愛く。離乳食作りがとても楽しかった。
そうめんと野菜をお味噌と牛乳のスープで柔らかくしたものは良く食べてくれたし、私のランチにもなった。

きみが産まれて、おねえちゃんよりもきみは上手にミルクが飲めなくって心配ばかりしていた。でもごめん、離乳食はいつ始めたかもわからない。

大人のお味噌汁の中に入っているお豆腐をぐちゃっとつぶして、
小さなきみに「あーん」。
炊飯器のごはんの水加減が多めだったのはこの頃で「固めのごはんが好きなんだけど」とおとうさんに言われたこともあった。
つまりね。大人と同じものをちょっと柔らかくしただけ。

食は確かに細かったけど、わりと抵抗なく何でも一度は口に入れてくれた。
今でも「食わず嫌い」はしないよね。

でも、離乳食は楽しい思い出ばかりじゃなく、8ヶ月のきみが入院したときの離乳食は忘れられない。
病院探しも鼻からチューブで栄養をとる病院は避けて、ゆっくりでも口から栄養が取れるところを探した。
おとうさんが仕事で忙しく日本にいなくって、おじいちゃんがきみのごはんにつきあってくれて、おじいちゃんの膝の上にのったきみに、少しずつスプーンで離乳食を食べさせた。
そしたら、おじいちゃんのズボンの上に離乳食がこぼれてしまって輪染みができた・・・。
なんだか、丈夫に産んであげられなかった自分を責めて、せつなくって、せつなくって泣けてしまったのだよ。
病室に差し込んだ夕日と離乳食の菜っ葉の汁とおじいちゃんのズボンの輪染みは忘れられない思い出だ。

その後のきみは喘息やらアトピーやらであいかわらず食は細かったけど、外遊びは元気いっぱいで、身体も大きくなると同時に何でも食べて丈夫になっていった。

今でも、おねえちゃんもきみも食べることは大好きだね。
離乳食ではあんなに差があったのにね。
まぁ、慎重に作った離乳食もおおざっぱな離乳食もどっちもありだ。ということだ。

そうそう、
おじいちゃんのズボンのシミはどうしたのだろうか。
クリーニングに出したのだろうか。
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