{ 女性のからだとごはん }2019.08.14

女性の味方 ビタミンD |コラム:日比野 真里奈

家族で不足させたくない、ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートし、骨の形成や維持に大きく関わります。
食べ物から摂取されたビタミンDは、血液中のカルシウム濃度を高める事によりカルシウムが骨や歯に沈着し、成長を促進したり、骨密度をアップさせます。人が生きていく上で欠かせない栄養素です。また、ビタミンDには免疫機能を高める働きも発見されており、インフルエンザを抑制するという報告もあります。


そして嬉しい事に、最近の研究では「妊活」や「妊娠」にも良い影響を与える事がわかってきました!
40歳以上の女性では、血中のビタミンD濃度が高いほど卵巣予備機能(卵子の中に残っている卵子の数の目安)が高いそうです。
また、体内のビタミンD濃度が高い女性ほど、自然妊娠や体外受精の妊娠率が上がり、習慣性流産のリスクを下げるという報告があります。


加えて、ビタミンDは男性不妊にとっても重要と言えます。
現在、不妊の原因は男性50%、女性50%の半分ずつです。ビタミンDが欠乏している男性の精子は、運動率が低く、正常な精子をつくる割合が低いという報告があるのです。


女性の社会進出や晩婚化が進む日本で、高齢になって赤ちゃんを望む女性は増加しています。それに伴い、男性側も、高齢になる率は上がります。
しかし、食事が不安や不調を緩和してくれるのであれば、知っておいて損はないと感じます。


妊婦のビタミンD欠乏は新生児のビタミンD欠乏に繋がりやすく、骨が柔らかくなる他に、
喘息やアトピーなどのアレルギー性疾患にも影響する可能性が高いそうです。
妊娠にとても重要な役割を担うビタミンDを、意識的に摂取してほしいと思います。



日光からも体内合成を意識して

ご存知の方も多いかと思いますが、日光を浴びることにより肌でビタミンDが生成されます。
別名、「日光のビタミン」と呼ばれています。
最近は、日焼けを逃れるため、UV対策をしっかりしている女性が多いのではないでしょうか?
私自身も、独身時代~妊活をする前は、日傘が欠かせませんでした。日光へ当たる機会が減ると、
体内のビタミンD生成も減ってしまいます。


また、夏と冬、日本の土地の違い(東北は少ない、沖縄は多い)などでも、日照時間は異なります。
子どものビタミンD欠乏症である「くる病」は東北地方に多くみられる他、日光の恩恵を受けやすい夏に
お腹にいた秋生まれの赤ちゃんは、頭蓋骨が強いという報告もあるほどです。
四季によっても、体内で生成されるビタミンD濃度に違いが生まれる事は、知っておいて損はないでしょう。
必要なビタミンDを合成するためにはハードルはそれほど高くなく、1日に10~15分の日光浴でOKで、
手のひらなどの面積で構いません。

日焼けによるシミなどの影響が気になる方は、身体の内側からケアする方法もあります。
毎食ビタミンCの豊富な食事を心がけましょう。


ビタミンD+カルシウム

カルシウムとビタミンDは、セットでとる事で栄養効果を最大限に発揮できます。
ビタミンDは穀類や肉類には含まれておらず、きのこ類(きくらげ、しいたけやマイタケなど)や
魚介類(鮭、うなぎ、サンマ、しらすなど)に多く含まれています。
18~49歳の女性の場合、鮭を1切れ食べれば1日の目標量を軽々クリアできます。
これに、カルシウムを多く含む食品(干しえびや煮干し、ヨーグルトやチーズ、小松菜など)を組み合わせるようにしましょう。
※骨まで食べられる缶詰タイプの魚はカルシウムが豊富でおすすめです

閉経後の女性は60代付近から、骨密度が低下して起こる骨粗しょう症を発症しやすくなります。
60歳代で約30%、70歳代で約50%の女性が骨粗しょう症を発症しており、
その罹患率は男性の役3倍といわれています。
骨粗しょう症を予防するためにも、妊活期からカルシウムとビタミンDを意識する事は、
女性の人生を豊かにしてくれる事でしょう。


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日比野 真里奈

〈資格〉
管理栄養士
健康運動指導士
妊産婦食アドバイザー
乳幼児食指導士

〈経歴〉
大量給食施設にて現場管理や管理栄養士業務
高齢者福祉施設で介護予防事業や入所者様の栄養アセスメント業務
病院にて栄養指導(主に生活習慣病や腎臓病、透析など)

〈フリーランスとして〉
奈良「ぱーぷるママ」アプリにて幼児食コラム掲載中
「ワタコレ」妊活イベントにて個別妊活食相談実施
mamanokoサイトにて商品アドバイザー
奈良市育児サークルにて離乳食と産後ママの健康講座開催