{ 食にまつわるお話 }2019.08.31

「朝採り野菜」を買うなら午前中の早いうちがおすすめな話|コラム:手島 奈緒

おいしい野菜の条件と言われてまず思いつくのはなんでしょう。
よく鮮度のいい野菜はおいしいと言われますが、新鮮そうに見える野菜でも収穫は数日前、なんてことがけっこうあることをご存知ですか? 
野菜の「鮮度」を見極めるのはとてもむずかしいのです。

アメリカ産のブロッコリーの鮮度が保てる理由


人間と同じく野菜も生きているので、収穫前はもちろん、収穫後も呼吸しています。
地面から切り離された野菜は、エネルギーの供給がなくなると体内の糖分を使って呼吸を続けます。
収穫後は時間が経つほど野菜の鮮度はどんどん落ちていき、これに伴って食味も落ちていきます。
それを防ぐために必要なのは「冷やすこと」です。

野菜の呼吸作用をゆるやかにできる適温は1~2度と言われます。何日もかけて日本に届く海外から輸入ブロッコリーが、黄変もせず新鮮なまま売られているのは、運ばれている間きちんと冷えているからです。収穫後すぐに冷やし、流通途中から店頭まで、温度を上げずに運ぶこのしくみは、「コールドチェーン」と呼ばれる現在の野菜流通の基本です

常温の朝採り野菜よりも鮮度保持された3日前の野菜


野菜のなかには、呼吸に伴い激しく発熱するものがあります。代表的なのがとうもろこしや枝豆などの豆類です。
収穫後、加速度的に味が落ちていくため、家庭菜園をやっていると「お湯を沸かしてから収穫しろ」などと言われます。最近のとうもろこしは果皮が柔らかく水分が多いため、うっかり常温に置いておくとしなびることもあり、気温の高い夏場の鮮度保持は大変です。

「朝採り」と書いてあっても、常温の売り場に置かれていれば前述の通り劣化していきますから、鮮度も味もダメになります。大切なのは野菜が冷えていたかどうか。それを確認するには、野菜袋の内側に水滴がついているかどうかを見ること。流通途中のどこかで温度が上がってその後冷えると内側に水滴がつきますから、そういうものは避けたほうがいいでしょう。

鮮度の良さが食味に直結する夏場のとうもろこし、枝豆、いんげんなどを買う際は、冷えているものを。常温の売り場の朝採り野菜を買うなら、午前中、早いうちがおすすめです。

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コラム 手島 奈緒

株式会社大地(大地を守る会・現オイシックス・ラ・大地)で編集・広報・青果物仕入れなどを担当し、
おいしいものばかり食べていたせいかおいしいものが大好き。
2010年よりフリーランスライターとして農と食についての情報を発信中。

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