{ 食にまつわるお話 }2019.10.25

お砂糖がどのように作られているか調べてみました。

クッキーやケーキを手づくりする際、レシピの砂糖の分量にビビって勝手に分量を減らし、結果的においしくない的なことがよくあります。お菓子はレシピ通りに作らなくてはならないのですねえ。

身近な調味料、砂糖。あたりまえすぎてどのように作られているのか、原料は何なのか、ほとんど知らない方も多いのではないでしょうか。「スプーン印の上白糖」の三井製糖のお客様相談室に電話して、製造方法などについて聞いてみました。

おばあちゃんの料理がやたらと甘い理由


日本では南(沖縄など)でサトウキビ、北(北海道)でテンサイという砂糖原料を栽培しています。ちなみに、テンサイは遺伝子組み換えされたものもありますが、北海道のテンサイは遺伝子組み換えテンサイではありません。

日本における砂糖の自給率は平成30年度概算で34%でした。過去10年ほどの推移では、だいたい20%後半から30%前半という数字を推移しています。
http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/attach/pdf/190806-3.pdf
(平成30年度食料需給表 農林水産省)

砂糖の主な輸入先はタイ、オーストラリア、フィリピンなどです。2014年に聞いたときはスーパーで売られている砂糖原料の20%が国産、80%がタイなどから輸入した原料糖ということでした。数十年前までは貴重品だった砂糖が、今や安くてふんだんに使える調味料となったのは、海外の安い原料糖があるからでしょう。

戦時中・戦後はとくに砂糖が貴重品だったため、おばあちゃんのつくるごちそうには砂糖がふんだんに使われています。これは「貴重な砂糖を使ってあなたをもてなしているのです」という愛情のアピールですから、「甘すぎる」とか言うとバチが当たるかもしれません。

原料から3回取れる砂糖の作り方


砂糖の作り方について、ざっくりと説明します。

1.原料糖からグラニュー糖を作る
溶かしては遠心分離機にかけ不純物を取り除く、という工程を数度繰り返し、まずグラニュー糖を作ります。グラニュー糖は純度が高い砂糖で、99.9%がショ糖です。不純物が少なく雑味がないため、日本では、ジャムやケーキなどに使われます。

2.その残りから上白糖を作る
グラニュー糖分離後の蜜から上白糖を作ります。上白糖のショ糖は97%。結晶が小さく固まりやすいため、転化糖(ビスコ)をまぶしてパラパラにします。これが日本人好みのしっとりした触感を生み出します。上白糖は、日本古来の砂糖「和三盆」のしっとり感と触感が似ているので、日本人に好まれるのではないかとお客様相談室のおじさまはおっしゃっていました。たしかに似てるかも。

お料理に砂糖を使わない人が増えていますが、お肉を柔らかくしたり、コクを増したりと、おいしくなるさまざまな効果があります。ちょっぴりでいいので使ってみるといいかもです。

3.さらにその残りから三温糖を作る
上白糖をとったあとの蜜から三温糖がつくられます。「三温」の名の由来は「3回あっためるから」。貴重な原料糖から最後の一滴まで砂糖を取るぜ! というような強い意志を感じます。三温糖の純度は95%で、製造工程でカラメル化するためうっすらと色がついています。コクがあり、野菜の煮物などに適しています。

三温糖の原料表示に「カラメル色素」と書いてあることがあります。危険を煽る人たちはこれが危険だと大騒ぎしますが、ロットや工場の機械によって色の濃淡がついたりすることがあり、その色合いを一定にするためにカラメル色素を添加しているということでした。
工場によっては添加していないものもあるそうなので、色の差くらいなら気にしなくていいのにと思ってしまいますが、安定した品質(色も含め)のためにしかたないということでしょう。

「原料糖からそれぞれの砂糖がどれぐらいの割合でできるのか」と質問してみたところ、割合は不明ですが上白糖が一番たくさんできるということでした。砂糖はその工程と純度によって「高いグラニュー糖→安い三温糖」という価格になっているのですね。

白砂糖がからだに悪いってのはほんとうですか?


「白砂糖が体に悪い」とよく言われます。医学的には白砂糖がとくに悪いというエビデンスはなく、都市伝説と言えそうです。確かに、摂取のし過ぎは虫歯、血糖値を上げ糖尿病リスクが高まる、中性脂肪値が上がるなどの問題はありますが、それは砂糖全般に言えること。砂糖には、親水性、でんぷんの老化防止作用、保存性など、食材をおいしく、食べやすくするさまざまな働きがあります。適量の摂取であれば神経質になる必要はないでしょう。

また「茶色い砂糖はからだにいい」ともよく言われます。「健康の効能」のエビデンスはないと思いますが、一部の茶色い砂糖には「食料安全保障上の効能」があります。自然食品店などで販売されている「洗双糖」などの国産原料100%の砂糖がそれに当たります。砂糖の国産割合が増えると、沖縄や鹿児島や北海道の製糖産業を守ることになり、安定供給につながります。その結果、食料の安全保障上リスクを減らすことにもなるのです。

わたしたちの日々の選択が未来を決めています。砂糖を選ぶという小さな行為が、日本の製糖産業を守ることにつながるとしたら。そんなふうに考えてみていただければと思います。

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コラム 手島 奈緒

株式会社大地(大地を守る会・現オイシックス・ラ・大地)で編集・広報・青果物仕入れなどを担当し、
おいしいものばかり食べていたせいかおいしいものが大好き。
2010年よりフリーランスライターとして農と食についての情報を発信中。

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