{ 女性のからだとごはん }2019.10.25

血糖値が上がる仕組み

糖質は体内に入ると、分解されて小腸で吸収されます。そしてブドウ糖に変えられ血管を通して各細胞に運ばれて、エネルギー源になります。
糖質を摂取して血糖値が上がると、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌されて、血糖値を下げる働きをします。しかし、インスリンの働きが追い付かない程血糖値が高い状態が続く食生活は危険です。

血糖値が高い状態が続くと、身体にはどんな影響があるのでしょうか?
一口に「糖」と言っても、いくつかの種類に分けることができます。米などに含まれるのは多糖類という糖に食物繊維がプラスされ、炭水化物と呼ばれます。
砂糖は二糖類、ジュースなどに入っているブドウ糖や果糖などの甘味は単糖類と呼ばれます。

単糖類は「単体の糖」というイメージですので、多くの糖が組み合わさってできる多糖類、二糖類よりも、血糖値の急上昇、急降下をおこしやすい性質があります。糖尿病患者さんが低血糖になった時の為に、ブドウ糖(氷砂糖のような形状)が支給される事がありますが、これは急速に血糖値を上げないといけない為です。
 

糖質はタンパク質や脂質に比べて吸収が早い為、優れた栄養源であると同時に、短時間で血糖値を上げます。その上がり方がゆるやかなのは問題無いのですが、急上昇すると気分が良くなったかのような感覚になり、急降下する時にはイライラ感や気分の落ち込み、激しい眠気に襲われる事もあります。


飲料にも注意が必要?


血糖値を考える上で特に注意して頂きたいのは、加糖の缶コーヒーやジュースなどの清涼飲料水です。20~30g前後の砂糖がたっぷりと含まれる上、液体は個体よりも身体に吸収されるスピードが速いのです。また、食品の成分でよく目にする「ブドウ糖果糖液糖」にも注意が必要です。
 ブドウ糖果糖液糖の原料はさつま芋やじゃが芋、トウモロコシですが、甘さを強める為に酵素と反応させて作られ、異性化糖と呼ばれます。砂糖よりも早いスピードで血糖値が上昇するので満足感が得られやすいのですが、高頻度の摂取で甘味に鈍感になり、また欲しくなるといった悪循環を引き起こす事もあります。
これらの事から、甘い飲み物の多飲は糖尿病の発症や悪化を招く原因になります。空腹時に甘い飲料でお腹を満たす事は絶対にやめましょう。
ついつい飲んでしまう清涼飲料水がある方は、異性化糖や食品添加物ではなくまずは甘味を砂糖入りのものに変える、そして、水やお茶の割合を増やすよう心がけましょう!お気に入りのお茶を探すのも、楽しいですよ♪


糖化は妊活にも悪影響


 不妊症の最大の原因である排卵障害には、血糖値が関係しているそうです。
血糖値が高い状態が続くと、血管の壁に炎症が起きます。そして、タンパク質と余分な糖が結合して「AGEs」(終末糖化産物)という恐ろしい焦げが生まれます。この物質が卵巣に溜まると、卵巣機能の低下に繋がる事がわかってきました。
AGEsは一度発生すると蓄積され、取り除く事ができません。特に女の子は身体に卵子の元を持っているため、子どものうちから「妊娠」を遠ざける食生活は改めておいた方が良さそうです。

しかし、炭水化物(ごはん)を完全に抜いてしまうのはNGです。炭水化物は人が生きていく上で必要なエネルギー源であり、抜いてしまうと低血糖を引き起こします。

 朝起きた時、人の身体は低血糖状態です。朝ご飯を抜いてしまうと、次に口にする昼食で血糖値が上がりすぎてしまう為、太りやすくなり、血糖値管理にも良くありません。夕食が遅くなる場合も、夕方にナッツやゆで卵、チーズなどの間食を食べましょう。
血糖値の対策としては、精製された白いパンやお米は食べ過ぎない、たくさん食べる場合は雑穀米やライ麦パンに変えるなど、主食を変化させるのがベターです。我が家も、カレーなどでご飯をたくさん食べたい場合は雑穀を入れるようにしています。
血糖値管理の為には、食事の間隔を空けすぎない、そしてお菓子やジュースに含まれる糖を減らす事から始めましょう。

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日比野 真里奈

管理栄養士
健康運動指導士
妊産婦食アドバイザー
乳幼児食指導士

大量給食施設にて現場管理や管理栄養士業務
高齢者福祉施設で介護予防事業や入所者様の栄養アセスメント業務
病院にて栄養指導(主に生活習慣病や腎臓病、透析など)を経て
現在はフリーランスとして
奈良「ぱーぷるママ」アプリにて幼児食コラム掲載中
「ワタコレ」妊活イベントにて個別妊活食相談実施
mamanokoサイトにて商品アドバイザー
奈良市育児サークルにて離乳食と産後ママの健康講座開催