{ 食にまつわるお話 }2020.01.27

冬本番! 今食べたいおいしいもの その4「白菜」

お寒くなりました。冬に食べたいおいしいもの、第四弾は「白菜」です。

「白菜縛り」ってご存知ですか? 12月に入り、霜が降り始めると、白菜のてっぺんが霜にやられて枯れ込んでしまうため、上部を紐などで縛る「白菜縛り」を行います。大きく広がった白菜の一番外側の葉で、内側のまだ成長している葉っぱをくるむのですが、これが意外に重労働。素人が12月の厳寒期にこの作業を一日やると腕と足腰をやられてしまいます。この作業を終えた白菜畑を遠くから見ると、まるでエイリアンの卵が整然と並んでいるようで妙にワクワクします。このあとも白菜はゆっくりと成長し、内部の巻きが強くなり、ますます甘く、おいしくなるのです。



さて、昨今は大型野菜は重くて持ち帰るのが大変だし、使い切るのも大変、ということで、カット白菜が主流です。わたしは白菜は丸ごと買う派。なのであちこちで丸ごと白菜を探すのですが、今年はなかなか見つけられません。以前は漬物用に2~3個丸ごと白菜を縛って売っているのをよく見かけましたが、最近はほんとうに見かけなくなりました。お漬物はできあがっているものを買えばいいし、白菜はカットされてすぐに使い切れるものがいいということなのでしょうか。でも白菜は保存の効く野菜。ほんとうは丸ごと白菜の方が経済的なのに残念なことです。

白菜を一個丸ごと買って、家の中の寒いところ、例えば玄関や勝手口近辺に置いておき、外側から葉っぱを使います。外側の大きな葉はロール白菜、翌日はお味噌汁の実に、内側の白い葉が出てきたらりんごといっしょにサラダにしたりと、白菜は生でも意外においしく食べられます。味の主張がそれほどないのにうまみが豊富なため、とても使い勝手が良いのです。そして最後、小さくなった白菜は、鍋の具材として一気に使い切ります。

使い切りのカット白菜と比較して、丸ごと白菜なら1週間や2週間程度、のんびり使ってもじゅうぶんに持ちます。ただ、ひとつ注意事項があります。ときおり内部が病気にかかっていて、途中で内側から腐ってしまうことがあるのです。これは、白菜ができた土、天候、栽培方法などの影響で、外側から見てもわかりません。もしかしたら、カットされているのは、内部の病害の確認のためなのかもしれないなーなんて思ったりもします。

これからの季節は、霜に当たってますます甘み・旨味が増している白菜。ぜひ一度丸ごとで買ってみてください。


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コラム 手島 奈緒

株式会社大地(大地を守る会・現オイシックス・ラ・大地)で編集・広報・青果物仕入れなどを担当し、
おいしいものばかり食べていたせいかおいしいものが大好き。
2010年よりフリーランスライターとして農と食についての情報を発信中。

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