{ 食にまつわるお話 }2020.02.27

有機農産物とかオーガニック野菜の基本の「き」の字



数年前から近所のスーパーマーケットでも有機JASマークがついた野菜が販売されるようになっています。有機農業に長年関わってきた自分としては、ああ、時代が変わったのだなとしみじみしてしまうのですが「有機野菜とか有機農産物がどういったものかよくわからない」という声もいまだに聞きます。ということで、今回は有機農産物がどういったものなのか、書いてみたいと思います。


1.有機農産物には有機JASシールがついている


有機農産物の法律は「有機農産物の日本農林規格」という名前です。日本農林規格とはJASマークでおなじみですね。「規格」なので規格を満たすためのいろいろな条件が定められています。非常に細々とした条件なのですが、ざっくり言うと「種まきの前2年間、定められた資材や農薬を利用したと特定の検査員に認定された圃場(畑)で栽培された作物について有機JASシールを貼ったり表示したりできる」もので、この有機JASシールを貼られているのが「有機農産物」です。つまり「有機野菜」には有機JASシールがついています。


2.有機農産物は無農薬(農薬不使用)ではないこともある


よく「有機だから農薬を使ってないのでは」と誤解している方が多いのですが、有機JASでも使える農薬がちゃんと定められています。これらの農薬は毒性が低く、なんというか、正直に言うと使うタイミングを間違えると全く効かなかったりするのですが「農薬を使っている」という事実にびっくりする方が多いのも事実です。しかし、中には農薬を使っていない人もいたりして、消費者にとっては「よくわからない」理由のひとつになっています。


3.有機農産物のメリットは「客観性」「トレーサビリティ」


有機農産物と表示するためには、検査員という第三者の検査が必要になります。検査は、購入した資材の伝票を全部見せてとか、作業日誌を全部見せてとか、農家にとってはとてもめんどくさい手続きをふんで行われます。もちろん経費もかかります。その結果、有機農産物と表示して販売できるのです。そして、有機JASシールから生産者を特定することも可能です。つまり有機農産物は誰が作ったものなのか、どのような資材が使われたのか、調べようと思えば調べられるということです。「客観性」と「トレーサビリティ」が有機農産物の大きなメリットなのです。

実は直売所などで有機JASシールも添付されていないのに「無農薬」と表示して売られている野菜は言わば「自己申告の無農薬野菜」。わたしたちに確かめる術はありません。有機農産物とは確かさにおいて大きな違いがあるのです。そもそも「無農薬」と表示して野菜を販売してはいけないので、その表示がしてある時点で売る側も出荷する側も勉強不足でダメって気もします。

では有機農産物は安全なの? と尋ねられると、わたしは返答に窮してしまうのですが、それはまた次の機会に書きたいと思います。

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コラム 手島 奈緒

株式会社大地(大地を守る会・現オイシックス・ラ・大地)で編集・広報・青果物仕入れなどを担当し、
おいしいものばかり食べていたせいかおいしいものが大好き。
2010年よりフリーランスライターとして農と食についての情報を発信中。

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