{ 食にまつわるお話 }2020.06.29

食品添加物は悪いもの? その1

梅雨ですねえ。ジメジメしたお天気が続き、気持ちもなんだかジメジメして来そうです。これから夏にかけてはとくに食中毒リスクが高まる季節、食物の保存には要注意です。冷蔵庫を過信せず、調理した食品は、早め早めに食べ切るようにしたいですね。

さて、どの家庭にももれなくひとつ存在している冷蔵庫は、食物を一定期間保存することができるスグレモノです。万能ではありませんが、常温で置いておくよりも長く保存できるのがいいところ。現代では「食物を保存すること」はそれほどむずかしいことではありません。しかし、つい100年ほど前まで、食品の保存はとてもむずかしく、そして大変なことでした。

食物を保存する代表的な方法は、乾燥、砂糖・塩・酢漬け、燻製、発酵です。どれも食品に含まれている微生物を増やさないことを目的に行われます。食品の劣化は微生物が原因。微生物は適度な水分量と温度で繁殖します。乳酸菌などが腐敗菌を抑制する「発酵」以外の保存法は、水分量を適切に減らすことで食品を長期間保存できるようにしたものです。

日本の伝統食と言えば梅干し。何十年も保存できるのですから驚きです。これからの季節、梅干しを漬けてみるのも楽しいですよ。

世界中の人々が、これらの方法を駆使して大量に収穫・採集できた食物を保存し、食物が少なくなる季節に備えていました。かなりの間この基本的な方法で人々は食物を保存してきましたが、19世紀末には化学物質を使うようになりました。その後、より長く食品を保存できるような容器の開発などの研究が行われ、現在に至るのです。
※この歴史を詳しく知りたい方は『保存食開発物語』(文春文庫刊 スー・シェパード著)がオススメです。

食物を保存する魔法の物質、食品添加物


ヒトが最初に使った食品添加物は、猟師が火薬を肉にまぶしてみたら長持ちした、というエピソードで有名な「亜硝酸」だと言われています。「亜硝酸ナトリウム」は、肉の発色剤やワインの保存料として現在も使われています。食品添加物のそもそもの目的は「食物を保存すること」でした。しかしいつの間にか他の目的のために使われるようになり、今ではその数の多さにめまいがするほどです。。

現代の加工食品から食品添加物ゼロのものを探し出すのは至難の技。それにしてもなぜ、こんなにたくさんの食品にたくさんの食品添加物が使われているのでしょう? それは、メーカーや流通、小売店の都合もありますが、消費者がそのようなものを望んでいる、という部分もあるのです。

今回から数回にわたって食品添加物のことを書いていこうと思います。

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コラム 手島 奈緒

株式会社大地(大地を守る会・現オイシックス・ラ・大地)で編集・広報・青果物仕入れなどを担当し、
おいしいものばかり食べていたせいかおいしいものが大好き。
2010年よりフリーランスライターとして農と食についての情報を発信中。

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