{ 食にまつわるお話 }2020.06.29

食品添加物は悪いもの? その2

先日お友だちがとあるスーパーで、22円でいちごクリーム味のオムレットを買った!!と自慢していました。オムレットとは丸いスポンジ生地にホイップクリームが包まれているお菓子。おいしいけどカロリーも糖質量も多くて、50過ぎの健康が気になるおばさまにはちょっぴり危険な食べ物です。

なぜ22円でオムレットが買えたのか。そのスーパーは、夕刻になると賞味期限が間近になった食品をワゴンに集めて半額セールをします。で、そのワゴンに、さらに「半額」というシールがついていたので22円ということでした。ということは、元の値段は88円だったのでしょう。それにしても88円。安すぎませんか?

良かったねーと言いつつ、元食品会社で働いていたわたしは、原価割れじゃないのかなーと小売店が少々気の毒になりました。廃棄するよりはまし、ということでしょうか。売値の88円には、小売店の粗利(加工食品はだいたい40~50%程度)が上乗せされています。粗利40%で計算すると、仕入れ値は50円程度。ということは、原価は30円くらいかな? 

本物よりも本物らしい香りと味わい



生クリームと植物油脂のホイップクリームはとても良く似ていますが、味が全然違います。植物油脂のホイップクリームは、「ホイップクリーム」という商品名で乳製品売り場にも売られています。原料表示を見てみると楽しいと思います。

クレープはいちごクリーム味だったそう。ということで、原材料を想像してみました。

仕入れ値50円の商品に本物のいちごが使われているとは考えづらいため、いちごの香料と赤い着色料が使われているでしょう。クリームは植物油脂のもの。本物の生クリームは原価率を押し上げるので使えません。植物油脂のホイップクリームは腐りにくく安価なため、プリンアラモードやファミリーレストランのパンケーキにどっさり乗っかっています。
その他、増粘多糖類や乳化剤、保存料、酸化防止剤、オムレットを膨らませる膨張剤など、様々な食品添加物が使われているでしょう。

このオムレットをお家で作ろうと思ったら、小麦粉と卵、バターでまずスポンジ生地を焼き、その間に、生クリームをホイップしいちごジャムを混ぜ、できあがったスポンジ生地にクリームをはさみます。ものすごくおいしそうですが、88円で作ることはできません。では、なぜそんなに安価で売れるのか、という疑問がわきます。

加工食品の価格を抑えるには、大量生産、原料価格を抑えることが第一ですが、安価な原料を使っておいしいものはなかなかできません。だからこそ、調味料や着色料、香料などの食品添加物を使う必要があるのです。本物よりも本物らしい食品を作ることができる食品添加物は、言ってみれば魔法の物質。そして、安価なものを求める消費者と、それで売れゆきを伸ばせるメーカーと小売、双方にメリットを提供しています。

食品添加物は現代の日本になくてはならない存在ですが、野放図に摂取してもいいのでしょうか? ということで、次回に続きます。

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コラム 手島 奈緒

株式会社大地(大地を守る会・現オイシックス・ラ・大地)で編集・広報・青果物仕入れなどを担当し、
おいしいものばかり食べていたせいかおいしいものが大好き。
2010年よりフリーランスライターとして農と食についての情報を発信中。

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