{ 食にまつわるお話 }2020.08.27

お肉の話 その1

スーパーのお肉売り場には、さまざまな牛肉が売っています。アメリカ産、オーストラリア産などの輸入牛肉はお財布に優しい価格。それよりも少し割高な国産牛、ちょっと奮発して黒毛和牛など、予算によってさまざまな選択肢があるのがうれしいところです。今回から数度にわたって牛肉について書いてみます。

国産牛と和牛の違いって何だっけ?


国産牛と表示されている肉は、乳牛のホルスタイン種のオスや、子牛を生んでいた経産牛をお肉用に育てたものがほとんどです。経産牛は硬いことが多いため、柔らかいヒレ肉やミンチで売られていることが多いようです。最近は、ホルスタインなどの乳用牛と黒毛和種をかけ合わせた交雑種も売っています。

和牛は「食肉の表示に関する公正競争規約」で表示が厳密に決められていて、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種類のみが「和牛」と表示できることになっています。現在の日本では「和牛」と表示して売られているものはほとんどが黒毛和種で、97%にもなるそうです。その他の和牛をあまり見かけることがないのは、そもそも育てられていないから、という理由もありそうです。

赤身の日本短角種。牛肉のほんとうのうまさがわかるのは赤身肉、なんてよく言われて、赤身ブームが少しだけ襲来していましたが、今はどうでしょう。歳を取ると霜降り肉よりも赤身のほうが食べたくなりますよね。

脂肪交雑率が高く、お肉はピンク色。グルメ番組で「このお肉、お箸で切れちゃう!」なんて言われたりする松阪牛や神戸牛は、黒毛和種のなかでも「超」のつくブランド牛。血統以外に肥育方法や肥育期間などの指針があり、お値段も「超絶」です。一度お肉やさんでうっかり松阪牛を買ったら、ヒレ肉2枚で8、500円!! もして、卒倒しそうになりました。おいしくて幸せな気持ちになりましたが、まさに「ハレの日の食べもの」。日常的に食べられる価格ではありませんよね。

褐毛和種は「あか牛」とも呼ばれ「土佐あか牛」や「阿蘇あか牛」などが有名です。スーパーで売っているのはあまり見ることがなくて、レストランなどでしか食べられないお肉かもしれません。日本短角種は生協や自然食品店で取り扱いがあります。あか牛と比較して入手しやすいお肉です。どちらも、黒毛のような霜降り肉ではありませんが、赤身主体で、牛肉のうまみを味わえるお肉です。

和牛の中でも、黒毛のA5が最高!! などとよく言われますが、黒毛のA4でもおいしいお肉はありますし、あか牛や短角牛などの赤身には、赤身独特のおいしさがあるものです。お肉の味は血統と飼育方法、飼育期間、飼料によって変わりますから、松阪牛や神戸牛、米沢牛などのブランド牛や、生協などで生産者が特定できるお肉を食べるときは、自分好みかどうか意識しながら食べてみてください。

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コラム 手島 奈緒

株式会社大地(大地を守る会・現オイシックス・ラ・大地)で編集・広報・青果物仕入れなどを担当し、
おいしいものばかり食べていたせいかおいしいものが大好き。
2010年よりフリーランスライターとして農と食についての情報を発信中。

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