{ 食にまつわるお話 }2020.10.07

残留農薬よりも食品添加物よりもサプリに注意

日々の健康に配慮している人ほどサプリが好きな傾向がありますよね。サプリを飲めば健康が維持できる、と思う気持ちは理解できるのですが、サプリはあくまでも「健康食品」。それどころか、摂取しすぎると健康被害も及ぼすものだと知っておきましょう。

薬にはならないけど毒になった事例の話


知人の話で恐縮なのですが、こんな例がありました。毎日の晩酌を欠かさないのに肝臓の機能はとくに問題ないのが自慢、という男性の話です。ある日、ものすごい倦怠感に襲われ、主治医に見てもらうと、肝機能が大幅に低下しているとのことでした。

「酒やめないと死にますよ」と言われ、長年飲んでいたお酒を2週間ほどやめたにも関わらず、数値はいっこうに良くなりません。また、顔色もどんどん悪くなっていきます。何が原因なのか、お医者様にも彼にもまったくわかりませんでした。

一ヶ月ほど経ったある日、お医者様が「もしかしてサプリとか飲んでます?」と聞きました。「飲んでますよ」。彼はサプリが大好き。肝機能障害が出てからはとくにがんばってサプリを飲み続けていました。その量を聞いたお医者様は驚き、すぐにドクターストップがかかりました。

サプリは健康な人が飲むことを前提に作られています


彼が飲んでいたのは、総合ビタミン剤、すっぽんナントカというカプセル、核酸、レシチンなどを数種類。それぞれ規定量の1.5倍量を毎日飲んでいました。サプリだけでおなかいっぱいになるほどだったと言います。「たくさん飲めば効くと思って」。この自己判断がとんでもない結果を引き起こしたのでした。

二日酔いになりがちなので、テレビCMで見たしじみのサプリを「買ってみようかな」と言ったところ、夫が「効かないからやめなさい」と言いました。「なんで?」「一年飲んだけど全然効かなかったから」(泣)自分の夫がバカっぽくて悲しくなったけど、買わなくて良かったです。

サプリには薬同様きちんと規定量があります。彼の場合、大量のサプリメントがお互いに影響しあって肝機能を低下させてしまったのです。サプリをスパッとやめた2週間後に、数値は通常に戻ったそうですから、サプリ、侮るなかれ、です。

サプリメントは基本的に健康な人が飲むことを前提に作られている「食品」で、薬ではありません。3食きちんと食べていれば、サプリに頼る必要はないと言われています。健康被害を引き起こす可能性もありますから、とくになにか疾病を持っている人の場合、サプリは飲まないほうが賢明です。飲み合わせで良くない影響が出たり、処方薬の効果を邪魔したり悪影響を及ぼすサプリもあるからです。

通院している方は、飲んでいるサプリがあればお医者様に確認したほうがいいでしょう。お医者様もサプリを飲みたい気持ちはわかっていますから、とくに何も言われない場合はよし。しかしやんわりと「あーそれはやめといたほうがいいね」とか言われた場合は飲むのはやめましょう。

あとひとつ。「痩せる」サプリメントが人気です。しかし体重を減らすために必要なのは、消費カロリーよりも摂取カロリーを減らすことか、筋肉をつけて代謝を上げることなどの地道な取り組みしかないのです。薬を飲んで痩せてきたとしたら、その薬には何か良くないものが入っているということ。

いかにも良くなるかのようなサプリのウリ文句・CMにだまされず、減量は、ゆっくりのんびり、日々の努力でがんばりましょう。

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コラム 手島 奈緒

株式会社大地(大地を守る会・現オイシックス・ラ・大地)で編集・広報・青果物仕入れなどを担当し、
おいしいものばかり食べていたせいかおいしいものが大好き。
2010年よりフリーランスライターとして農と食についての情報を発信中。

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