{ 食にまつわるお話 }2021.02.01

手前味噌づくりのススメ その1


ここ20数年、ほぼ毎年手前味噌を作っています。2kgの大豆と2kgの麹でできるミソは約9kg弱。ちゃんと計ったことはありませんがだいたいそんなもんでしょう。これが一年でなくなります。毎年いまごろ味噌がなくなるので去年仕込んだ味噌を開け、来年の分を仕込む、というのを繰り返して数年経ちます。

毎年、味噌を開くときは見たことないほどのカビが生えまくっているのですが、あまり気にしたことはありません。手島オリジナルカビよけ対策で、仕込んだ味噌のうえに焼酎を染み込ませた和紙を置いているからです。したがって、カビは和紙の上に生えます。和紙を取り除くとカビもきれいに取り除け、ピカピカの味噌が出てきます。これは24年ほど前に思いついた方法で、毎年うまいこと機能していて、失敗したことはありません。

よくある味噌のレシピでは、上部にラップをぴっちり張るとあります。そうすると、ラップの下に白、黒、青の3色のカビが生えます。初めて味噌を作ったときにはこのカビを見てひるんだものですが、最近はカビの胞子さえ飛ばさなければ大丈夫、と科学的に考えられるようになりました。

カビは好気性菌なので味噌の内部には入り込めません。しかし、味噌の表面のカビの菌糸が味噌のどこまで伸びてるかわからないので、変色した部分をこそげ取って廃棄します。そのロスがけっこう大きくて、味噌がもったいないと思ったのが焼酎和紙を編み出した理由です。それ以来、心おきなくカビの群れを見ています。

しかし3年前、味噌の水分量が少なかったせいで、容器のふちから内部にカビが侵食していたのを見つけました。ガーン。容器のふち分味噌をこそげ、残った味噌は7kg。あまりのことに言葉を失い、地面にめりこむほど落ち込んだのですが、その際にいただいたアドバイスが「板の酒粕をうえに敷くといいよ」でした。

それ以来、仕込んだ味噌のうえに板粕を敷き、さらに焼酎和紙を置いています。昨年あけた味噌は、焼酎和紙の上にきのこのようなカビが生えていましたが、味噌は無事でした。板粕、いい仕事をしています。ということで、毎年うまい味噌を食べられています。手前味噌を食べたら、人さまの作った味噌など食べられません。みなさまもぜひ、手前味噌づくりを楽しんでみませんか。ちょうど今、手前味噌づくりに最適なシーズン!! ぜひぜひ、お楽しみください。

ということで、次回はズボラなわたしのレシピをご紹介したいと思います。

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コラム 手島 奈緒

株式会社大地(大地を守る会・現オイシックス・ラ・大地)で編集・広報・青果物仕入れなどを担当し、
おいしいものばかり食べていたせいかおいしいものが大好き。
2010年よりフリーランスライターとして農と食についての情報を発信中。

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