{ 食にまつわるお話 }2021.02.27
引き続き「食品ロス」について書いてみます。食品ロスを減らすために、農林水産省ではさまざまな取組がされていますが、中でも「おお! これは!」と思うのが、ロスになる食品を家畜の飼料にしようというものです。これを「エコフィード」と呼びます。
『エコフィード(eco-feed)とは、食品残さ等を利用して製造された飼料です。エコフィードの利用は、食品リサイクルによる資源の有効利用のみならず、飼料自給率の向上等を図る上で重要な取組です』
エコフィードについて(農水省WEBサイトより引用)
現在、日本で生産されている家畜の飼料は、ほぼ海外の穀物に依存しています。数十年前は安価で購入できたこれらの穀物が、ここ数年、旱魃による不作などで何度か高騰しています。輸入穀物とは主にトウモロコシのことですが、海外への依存度は9割以上ですから、トウモロコシが高騰すると飼料価格も高騰し、その結果、最終製品価格も値上げせざるを得なくなります。ということで、国内での飼料自給が喫緊の課題となっているのです。
というような「飼料自給率を少しでも上げたい事情」と、食べられる食品をそのまま廃棄している「食品ロス問題」がうまく合体したのが「エコフィード」です。廃棄されている食品を飼料にし、食品のムダを防いで新たな食品を作り出すなんて、すばらしいではありませんか。しかし、最初この話を聞いた時には、なんとなく「残飯を家畜に与える」的な良くないイメージがふわふわと頭上を飛び交いました。もしかしたらそんなイメージを持っている人、まだまだ多いかもしれませんね。
牛や豚のお肉って、なんとなく、畜産農家がおいしくなるように育ててくれているとぼんやりと思っている人がほとんどだと思います。それがどのようになされているのか、知る機会はあまりありません。よく考えてみると、牛も豚も生きものですから、生きている間にロースの出来具合やバラ肉の脂の入り具合などを確認することはできませんよね。見えないのに、農家がどのように家畜の肉を一定に保っているのか不思議に思ったことはありませんか?
家畜の味を作るのは「飼料」ですから、飼料が最も大切になります。おいしい肉を作るために、一から飼料を手作りする人もいれば、配合飼料を与えている人もいますが、それぞれがだいたい「こういう味になる」飼料を与えることで、味の安定化をはかっています。したがって、残飯をそのまま与えてもいいお肉にはなりません。何を、どのような配合で、どう与えるか。肉がどのように作られているか見えないのですから、エコフィードに取り組むのはとても大変なのです。
気になるエコフィードの材料ですが、コンビニのお弁当そのまま、なんてことはありません。主に食品を製造する際に出るもの、例えば、しょうゆや焼酎、ビールを絞ったあとのかす、また、売れ残ったパンやおにぎり、カット野菜工場から出る野菜くず、食べられない部分、規格外の農産物などになります。それぞれある程度成分が安定しているのが特徴です。成分にばらつきがあると、お肉の味の再現性に欠けるため、毎回内容が違うものを与えるのはリスクが高いのです。それにしても、チャレンジであることには違いありません。
現在エコフィードの利用割合は、濃厚飼料全体の約6%。目標は15%に設定されています。エコフィード認証を取得し、ブランド化されている商品もありますから、もしお店で見つけたら買ってみてくださいね。
(手島奈緒)
「エコフィード」について調べてみました
引き続き「食品ロス」について書いてみます。食品ロスを減らすために、農林水産省ではさまざまな取組がされていますが、中でも「おお! これは!」と思うのが、ロスになる食品を家畜の飼料にしようというものです。これを「エコフィード」と呼びます。
エコフィードってなんだろう
『エコフィード(eco-feed)とは、食品残さ等を利用して製造された飼料です。エコフィードの利用は、食品リサイクルによる資源の有効利用のみならず、飼料自給率の向上等を図る上で重要な取組です』
エコフィードについて(農水省WEBサイトより引用)
現在、日本で生産されている家畜の飼料は、ほぼ海外の穀物に依存しています。数十年前は安価で購入できたこれらの穀物が、ここ数年、旱魃による不作などで何度か高騰しています。輸入穀物とは主にトウモロコシのことですが、海外への依存度は9割以上ですから、トウモロコシが高騰すると飼料価格も高騰し、その結果、最終製品価格も値上げせざるを得なくなります。ということで、国内での飼料自給が喫緊の課題となっているのです。
というような「飼料自給率を少しでも上げたい事情」と、食べられる食品をそのまま廃棄している「食品ロス問題」がうまく合体したのが「エコフィード」です。廃棄されている食品を飼料にし、食品のムダを防いで新たな食品を作り出すなんて、すばらしいではありませんか。しかし、最初この話を聞いた時には、なんとなく「残飯を家畜に与える」的な良くないイメージがふわふわと頭上を飛び交いました。もしかしたらそんなイメージを持っている人、まだまだ多いかもしれませんね。
そんなに甘くない家畜の肉づくり
牛や豚のお肉って、なんとなく、畜産農家がおいしくなるように育ててくれているとぼんやりと思っている人がほとんどだと思います。それがどのようになされているのか、知る機会はあまりありません。よく考えてみると、牛も豚も生きものですから、生きている間にロースの出来具合やバラ肉の脂の入り具合などを確認することはできませんよね。見えないのに、農家がどのように家畜の肉を一定に保っているのか不思議に思ったことはありませんか?
家畜の味を作るのは「飼料」ですから、飼料が最も大切になります。おいしい肉を作るために、一から飼料を手作りする人もいれば、配合飼料を与えている人もいますが、それぞれがだいたい「こういう味になる」飼料を与えることで、味の安定化をはかっています。したがって、残飯をそのまま与えてもいいお肉にはなりません。何を、どのような配合で、どう与えるか。肉がどのように作られているか見えないのですから、エコフィードに取り組むのはとても大変なのです。
気になるエコフィードの材料ですが、コンビニのお弁当そのまま、なんてことはありません。主に食品を製造する際に出るもの、例えば、しょうゆや焼酎、ビールを絞ったあとのかす、また、売れ残ったパンやおにぎり、カット野菜工場から出る野菜くず、食べられない部分、規格外の農産物などになります。それぞれある程度成分が安定しているのが特徴です。成分にばらつきがあると、お肉の味の再現性に欠けるため、毎回内容が違うものを与えるのはリスクが高いのです。それにしても、チャレンジであることには違いありません。
現在エコフィードの利用割合は、濃厚飼料全体の約6%。目標は15%に設定されています。エコフィード認証を取得し、ブランド化されている商品もありますから、もしお店で見つけたら買ってみてくださいね。
(手島奈緒)