グリーンアスパラガス

{ 食にまつわるお話 }2021.04.09

おいしいものの探し方 野菜その1 鮮度

グリーンアスパラガス
アスパラガスは生鮮品。鮮度のいいものをさっさと食べるのがコツです。


先日、FromKitchenの主催者、福島利香さんのクラブハウスのゲストとして招かれ、食べものの話をさせていただきました。そこで「なるほど。今までの自分のアプローチではちょっと足りなかったのかも」という発見がありました。

わたしは「ほんとうにおいしいもの」とか「ほんもの」っていったいどんなもの? と聞かれることがよくあります。聞かれるたび、「自分のものさしを作って、食べものの価値を判断しましょう」と答えてきました。コラムでも「ものさしの素材」について書いてきたのですが、もう少し具体的に「探し方」をご案内してもいいのかなと思ったのです。

ということで、今回からしばらく「おいしいものの探し方(手島奈緒バージョン)」についてご案内していこうと思います。

第一回目は野菜です。


野菜のおいしさを決める最も大切なものって何でしょう。一般栽培の野菜よりも有機栽培? 有機栽培よりも自然栽培? はたまた、希少品種、在来品種、無農薬、無肥料、無堆肥エトセトラエトセトラ。。。それぞれもっともらしい説明がされています。そういうのも大切かもしれないし、作り手の思い(というか技術)も当然加味する必要がありますが、最近の自分的に最も大切なのは「鮮度」だと考えています。

しかし「お店に売っている野菜がいつ収穫されたのか」を消費者が知るすべはありません。が、おおむねこんなふうに考えることができます。

収穫 → 出荷 → 市場に移動 → 小売店に移動


矢印のたびに一日経っていると仮定すると、収穫から三日目のものが小売店に並んでいます。これが店頭販売の野菜のたぶん最短です。

もちろん、収穫当日に出荷されているとは限らず、もしかしたら四日目くらいかもしれません。保存がきく野菜(きゅうりトマトなすなどの果菜類)は、収穫後冷蔵庫に保管され、出荷後JAの巨大冷蔵庫に保管され、さらに市場の冷蔵庫に保管され、さらにさらに小売店のバックヤードに置いたりして、出荷時期のコントロールがされていますから、とりあえず今回はそういった野菜の鮮度については考えないことにします。

野菜たちは移動の間、鮮度保持のためにきちんと冷蔵保存されています。これをコールドチェーンと言います。野菜は芯まで冷やしていれば呼吸作用が抑制されるため、鮮度が落ちることはないと考えられていますが、店頭に置いておく時間がながければ長いほど、鮮度は落ちていくと考えていいでしょう。したがってまずは「野菜の回転が早そうな店を見つける」ことです。

そのお店に「農家直送」的な商品が置いてあればなおいいでしょう。時折、農家と直接取引をしているスーパーがあり、でかでかと「農家さん直送品」などと表示されていることがあります。その野菜を買って帰って、おいしければ次もその売場の野菜を購入します。「農家直送品」であれば、収穫の翌日に店頭に並んでいる可能性があり、一般のものよりも鮮度がいいと考えられるからです。

一般流通のスーパーよりも鮮度のいい可能性が高いのが直売所です。もちろん回転が早いのを確認するのを忘れずに。さらに、直売所の売り場は常温なので、暖かくなってくるとどんなに予冷されていても鮮度はどんどん下がります。それに伴い、おいしさもどんどん損なわれますから、できるだけ早い時間に購入して冷蔵庫に入れ、その日のうちに食べるのがおすすめです。

ただ、直売所の野菜がすべて鮮度がいいかと言うとそれはまた別の話。冷蔵保存されていたものが出ている可能性もり、いつ収穫したのかははっきりとはわかりません。納品時の農家さんを見つけたら「これ、朝取りですかあ?」なんてのほほんと聞いてみるといいかもしれません。嫌がらずにお返事してくれたら納品中の野菜をすぐに買います。「おいしそうですねー」なんて言うと喜ばれて、次はもっと良い野菜を出荷してくれるかも。小さなことですが、こういうコミュニケーションも大切なことです。

最後の砦が産直野菜です。農家から直接自宅に送ってもらう野菜は、送料分割高になりますが、鮮度がよく、おいしいものが届く確率が高くなります。産直品は収穫当日、または翌日、箱詰めして宅急便で送られることが多いもの。どのように栽培されたか農家の人となりがわかる情報も提供されていますから、安心安全が気になる人にはとくにおすすめです。

おいしい野菜を見つけるには

1.野菜の回転の早いお店を見つけて
1-2.農家直送野菜売り場があればなおGOOD
2.それがなければ直売所の野菜
3.最もわかりやすいのが農家産直の野菜


1と2のどの売り場の鮮度がいいか確認するには、鮮度が味を左右する野菜を1種類購入して食べ比べてみるのがおすすめです。

今の時期であれば、アスパラガスを選択しましょう。ゆでて食べると一発でわかります。鮮度のいいものは下の硬い茎のところまで柔らかく食べられ、早くゆであがります。また、カットされた茎の断面が変色し湿っていたらそれは古い証拠。何度か行ってみてそういうものが売っていたら、その売場では買わないことです。

わたしはこれで、近所の直売所よりもスーパーの農家直送品売り場の鮮度の方がいいことを発見し、驚きました。わかりやすいのでぜひ試してみてください。

(手島奈緒)