シャトーブリアン

{ 食にまつわるお話 }2021.04.19

おいしいお肉の探し方 牛肉

牛肉食べ比べ
焼肉屋さんでも部位ごとに食べさせてくれるお店があります。そこで部位の食べ比べをすると、自分の好みがわかるんですよー。ちなみにわたしの好みはランプです。


前回に引き続き、おいしいものの探し方について書いていきます。

二回目は牛肉です。おいしい牛肉と言えば、和牛、しかもA5ランクのもの、なんて思う方が多いのではないかと思います。Aナントカという規格は、あくまでも歩留まりであって=おいしさではないので、要注意です。人それぞれ感じるおいしさが違っていて、霜降り肉をおいしいと感じる人もいれば、赤身でうま味がぎゅっと詰まったもののほうが好きな人もいます。まずは自分好みの牛肉の味を見つけましょう。

お肉は一般的にどんなものでも飼育期間が長いほうがうまみが増します。黒毛和牛のブランド牛、神戸牛や松阪牛、米沢牛などには飼育期間に基準があり、神戸牛は28ヶ月~32ヶ月、特選松阪牛は38ヶ月、米沢牛は32ヶ月以上など、おしなべて飼育期間が長いのです。
これに対して、国産牛(ホルスタインのオスやアンガス牛など)は19ヶ月程度と短く、海外の牛、米国産・豪州産の牛は19ヶ月だと長い方で、短いものでは17とか16ヶ月程度で出荷されています。

この飼育期間でお肉のうまみの見当をつけることができます。黒毛のブランド牛→黒毛和牛→日本短角種などの赤身の牛→国産牛(F1)→国産牛(ホルスタインなど)→輸入牛肉の順で、言い方は良くないのですが、うまみの強い肉からあっさり味になっていくと考えていいでしょう。

輸入牛でも、トウモロコシなどの濃厚飼料で作られている米国産の牛肉は国産牛に近い味ですが、豪州産の牛肉は牧草主体で作られているためあっさりしています。あっさり&赤身が好きな方は豪州産がおすすめですが、あまりにもあっさりとしているので塩コショウだけでは物足りないかもしれません。

国産牛のなかでは黒毛和牛とホルスタインをかけ合わせたF1牛がおすすめです。F1とか交雑牛などと表示されているので探してみてください。黒毛の血が二分の一でも入ってるとサシも細やかに入っていて、やっぱり牛肉って血統よねとしみじみ思ってしまいます。

さて、「赤身の熟成肉が日本一」とか「ピンク色に見えるほどサシが入っている牛肉がサイコー!」とか、巷にはさまざまな「誰かのモノサシ」があふれています。おいしいものを探す第一歩は、その「誰かのモノサシ」から抜け出すことです。まずは自分自身の好みの味を見つけましょう。わたしのおすすめは、部位ごとに食べさせてくれる焼肉屋さんでお肉の食べ比べをすることです。

自分が好きな味が赤身(うまみ)か、はたまた霜降りの脂肪(甘み)が好きなのか。部位ごとに食べるとそれがわかってきます。わたしはサーロインやヒレなどの高級部位よりも、うまみの強いランプが好み。なんとも安上がりな女ですが、それがわかればしめたもの。その部位を見つけて食べればいいのですから。

とは言え、塩コショウだけでおいしいお肉を食べたいのなら、選ぶべきは和牛です。一般的な黒毛和種ならスーパーの店頭に並んでいますから、A5とかA4などのウリ文句に騙されず、表示されている産地と部位を意識して食べてみましょう。好みのお肉があれば次からはそれを買ってみます。特定の部位が好きとわかれば、売り場でその部位を切ってもらうのもいいでしょう。お肉やさんで買うのもいいですよ。顔なじみになるといいことあるかも!

ということで、おいしいお肉を選ぶには。

1.自分が好きな牛肉の部位や食べ方(塩コショウだけとか焼き肉のタレが好きとか)を知る。
2.スーパーでそれっぽい部位のものを買って好きな味付けで食べてみる。
3.自分の好きな部位と味の肉を売っているスーパーを見つける。 です。

道のりは長いのですが、おいしいものを見つけるのには時間がかかるのです!
ちなみにわたしが好きな牛肉は、宮崎県の尾崎宗春さんの牛、尾崎牛の赤身です。ネットでも購入できますよ!


(手島奈緒)